強気② ~Yonkers編・Verse 2~

はい、ファントムです


最近の若手で唯一認めていると言っていいSki Mask the Slump Godの新譜『STOKELEY』カッコいいですね。トラップ聴かないといったがあれは嘘だ


さて、前回の続き、タイラー・ザ・クリエイターの話です


強気なリリックとして書いてますが、今回はバース2です。実はこのバースが一番強気です。前回と同じくバースごとに分けて解説します



Jesus called, he said he's sick of the disses
I told him to quit bitchin', this isn't a fuckin' hotline
For a fuckin' shrink, sheesh, I already got mine
And he's not fuckin' workin', I think I'm wastin' my damn time
I'm clockin' three past six and goin' postal
This the revenge of the dicks; that's nine cocks that cock 9's
This ain't no V. Tech shit, or Columbine

But after bowling, I went home for some damn Adventure Time

(What'd you do?) I slipped myself some pink Xannies (Yeah)

And danced around the house in all-over print panties

My mom's gone, that fuckin' broad will never understand me

I'm not gay, I just wanna boogie to some Marvin

(What you think of Hayley Williams?)

Fuck her, Wolf Haley robbin' them

I'll crash that fuckin' airplane at that faggot nigga B.o.B is in

And stab Bruno Mars in his goddamn esophagus

And won't stop until the cops come in

I'm an overachiever, so how about I start a team of leaders

And pick up Stevie Wonder to be the wide receiver? (Cool)

Green paper, gold teeth, and pregnant golden retrievers

All I want – fuck money, diamonds, and bitches; don't need 'em

But where the fat ones at? I got somethin' to feed 'em

It's some cooking books, the black kids never wanted to read 'em

Snap back, green ch-ch-chia fuckin' leaves

It's been a couple months

And Tina still ain't perm her fuckin' weave

Damn

ジーザスが電話してきて、ディスられるのにうんざりだって言うんだ
だから俺は「ビッチみたいなこと言ってんな、これは悩み相談室じゃねえ」って言ってやったよ
精神科医が俺にもいるけど、
もはや意味ないし時間の無駄だよな
6時3分になるし撃ち殺しに行くか
「チンコの復讐」だぜ、9人の男と9mmの銃で
ヴァージニアとかコロンバインじゃないぜ

でもボウリングのあとは家に帰って「アドヴェンチャー・タイム」を観るか

(そのあとは?)ザナックスでハイになるんだ

んで柄物のパンツはいて踊りまくるんだ

オカンはどっかいったし、どうせ俺のことも理解できねえよ

ゲイじゃねえけど、マーヴィン・ゲイにノリたいだけさ

(ヘイリー・ウィリアムスについては?)

ブチ犯すさ、ウルフ・ヘイリーがレイプするんだ

それからあのどアホのB.o.Bが乗ってる飛行機を落としてやる

ブルーノ・マーズの喉をぶっ刺して

警察が来るまで刺し続けるんだ

俺は成功者だし、リーダーだけ集めてチームでも作るか

スティービー・ワンダーをワイドレシーバーにしてやるよ

金とそれから金の差し歯と金に群がるビッチ

これが俺の欲しいもんだ。金もダイアモンドもビッチもいらねえんだよ

ところでいい女どもはどこだ?やるもんがあるんだ

なんかの料理本なんだけどな、どうせ黒人は読みもしないだろ

キャップと緑のチアの葉っぱと

もう何ヶ月か経ったけど

まだティナはパーマかけてねえんだ

クソ

タイラーのステージネームは「クリエイター」ですが、これを「創造主」とかけて、ジーザスよりも上の存在であるとアピールします。まあ電話かかってきてる時点でそうなんでしょうし、そのあとも「ビッチみたいなこと言ってんな」と罵倒しますから、明らかに自分を神以上の存在としてとらえてます。しかも、オッド・フューチャーのメンバーは無神論者が多いのでそういう部分も含めてるんでしょう


前回の記事で触れたTC先生ですけど、そのTC先生はほとんど働いてないそうですね。でもそんな怠け者のTC先生を1つめのバースでシドに勧めてますからね、これもまたパラドックスです。


6時から3分過ぎた、というのはそのあとの9につながっていて、9mm銃だったり9人だったりにかけてます。スラングで「postal」というのは銃を乱射することで、銃の乱射事件を起こしてやるっていう決意の表れになってます


そのあとの「チンコの復讐」ですが、これは1984n年の映画『ナーズの復讐』とかけていて、同タイトルのミックステープもルーペ・フィアスコが出してたりします


以前ヴァージニア工科大とコロンバイン高校において銃の乱射事件がありましたが、それとは違うと言いたいのがこのラインです。ここら辺からよくわかんなくなってくる


ボウリングのあとは…の部分はまた映画タイトルとかぶせていて、直前のコロンバイン含め、映画『ボウリング・フォー・コロンバイン』のことを指しています。さらに「bowl」という単語にはマリファナを吸うという意味もあり、、、リリシズムとしてかなりすごいんですよね。強気なこと言うだけじゃなくて普通にリリックがうまい


『アドヴェンチャー・タイム』っていうアニメがあるらしいんですけど、恐らくこれはこの直後のラインのことを指しているんだと思います。ザナックスでハイになって踊り狂うっていうある種アドベンチャーのような時間のことを指しているんでしょう。さらに言うとザナックスは元々抗うつ剤なので、これも精神科医にかかっているとかとのラインと関連付けてます。そしてザナックスは鎮静作用がメインなので、ザナックス飲んだ後に踊り狂うというのはパラドックスと考えられます


タイラーがプロデュースしているアパレルは柄物が非常に多く、PV等を観たことがある人は彼が柄物を好んでいることはわかると思います。『Who Dat Boy』とかを参考。そんな柄物好きのタイラーにとっては柄物の下着を着て踊るっていうのは普通のことかもしれませんが、もし彼のお母さまがその姿をみたら、ゲイだと思われるでしょう。というのも、柄物っていうのはアメリカではゲイが着るものだと思われてますので…… ちなみにタイラーとお母さまはめちゃくちゃ仲がいいです


マーヴィン・「ゲイ」とゲイをかけてるんですけど、もしママに目撃されたとしたらゲイだと勘違いされちゃうんでしょうね。でもそれがザナックスのせいだなんてお母さまはわからないので


B.o.Bというラッパーがいます。まあいわゆるヒットメイカーというか、ポップなラップをすることで有名なラッパーです。パフ・ダディとかと同じようなディスられ方です。そんな彼の楽曲『Airplane』にフィーチャーされたのがヘイリー・ウィリアムスです。なんかのバンドのボーカルらしい。レイプしてやるっていうことを言った後、それはタイラー本人ではなくもう一人の人格であるウルフ・ヘイリーが犯人だと言い張るわけです。まあここはあんまり重要じゃなくて、もっと重要なのはB.o.Bの乗ってる飛行機を落としてブルーノ・マーズをぶっ刺すっていうところです。というのも、似たようなポップスばかりを作り続ける音楽業界全体の批判としてこのラインを言っているからです。ちなみにブルーノもB.o.Bの楽曲に参加したことがあります。このディスに対してB.o.Bはアンサーとして『No Future』をリリースしました


Overachieverというのは予想を超えて成功することを指します。ブルーノの喉をぶっ刺すならたぶんそれだけで人は死んじゃうと思うんですが、警察が来るまで止めない、という部分に予想を超えるという部分を含ませているんだと思います


ここからが個人的に一番好きなラインなんですが、リーダーを集めてチームを作るとしたら、誰がそのチームのリーダーなんでしょうか。オールスターみたいに好き勝手になっちゃうからね。しかもワイドレシーバーに盲目のスティービーを起用するんだとしたら、彼をリードする存在も必要なはずなんですよね。これもパラドックスととらえられます。


ゴールデン・レトリーバーはワンちゃんですよね。ただ、「retriever」単体だと「取り戻す人」とかそういう意味になります。生物学的に妊娠できるのも女性だけですし、女の子のワンちゃんが本来の「ビッチ」です。なので僕は「金に群がるビッチ」と訳したわけです。どう?


直前のラインで金も金の差し歯(金などのジュエリーを指してます)もビッチだけが欲しいものだと言っているのに、金もダイヤもビッチもクソくらえと言ってます。パラドックス


fatというのは太っているっていう意味ではありますが、こと女性のことになると「魅力的な」という意味に早変わりします。そういう魅力的な女性に料理本をプレゼントする紳士・タイラー。feedもいろんな意味で使われてまして、養うとかもあれば性的な意味でも使われたりします。さらにblack kidsは貧乏であることが多いので、料理本を読むまでもなく食べるものがまずない状態なので、養うという意味でもとらえられます。ついでに言うと、そういう黒人は何をするかというと、コカインとかを自分で作って売ったりして金を稼ぎます。まあ、そういう意味でも料理本なんてものは存在しないので。つまりリリシズム


スナップバックというのはいわゆるキャップのことで、タイラーは常にかぶっています。まあそれはいいとして、次のラインがわからなくて。葉っぱがマリファナのことを指しているとも思えますし、緑の葉っぱが転じてお金とも取れますし、もしくは緑色の葉っぱでできた帽子みたいな、被り物のことを言っているのかもしれません。ちょっとわかんない


そしてラストのラインですが、TC先生初登場回であるタイラーの曲『Bastard』が収録されているミックステープ『Bastard』内に『Tina』という楽曲があり、そこでタイラーは『Tina perm your fuckin' weave』とラップしてます。それから何ヶ月も経ったのにまだティナはパーマをかけていないそうです。そんなことで「クソ」とか言っちゃうタイラー。メンヘラか?



はい、以上がバース2です。身内以外から人の名前を積極的に出してディスっていく強気ソングになってきました。次回ラストになりますが、どんな楽曲になっていくのか?たのしみにしていてください………

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