Some Rap Songs
おはようございます。ビートメイカーの朝は早い。ファントムです
ぶっちゃけ最近アーティスト活動で忙しく、更新滞ってます。でもここでタイラーの記事の続きをやると思っただろ、違うぜ
さて今日のテーマはEarl Sweatshirtによるアルバム『Some Rap Songs』です。シングル『Nowhere2go』のリリースから始まり、『The Mint』と合わせて2曲をシングルとして迎えた新アルバムですが、どんなアルバムになってるんでしょうか…………
『Nowhere2go』の記事でも言いましたが、アールの曲はビートが本当に頭おかしいんです…… 1番普通(?)のビートで構成されていたのはiTunesなどでは配信されていないミックステープ『Earl』で、そこから『Doris』『I Don’t Like Shit, I Don’t Go Outside: An Album by Earl Sweatshirt』と回を重ねるごとにどんどんついていけなくなります。ごっつええ感じの世紀末戦隊・ゴレンジャイっぽさがある
サンプリングをあまりしないですし、パソコンとキーボードの前で一つの音を見つけるのに何時間もかけると噂のアールです。今回もゴリゴリのヤク中サウンドかと思いきや、サンプリングを使ったヤク中サンプリングに進化していました。
古くからの友人Vince Staplesと一緒にフィーチャーされた「Noisey」のドキュメンタリーで、アールはこんなことを言ってました。(2:00あたり〜)
When I’m producing, I want some fuckin’ weirdo, hippie shit, it’s awesome
ビートを作る時、おれは変でヒッピーみたいなのが作りたいんだ、最高だし
だそうです。その直後に「マリファナ吸いながら音を楽しむんだ」とも言ってます。ここはカリフォルニア、大麻合法の都市。しかしこの動画がリリースされたのは2014年です。娯楽目的の大麻所持が合法化されたのは2016年だったはずなので普通に違法です。残念だね
さてアルバムの内容に入っていきますが、リリースを一切しなかった2015年後半から今年前半までの約4年間はアールにとってとてもツライ時期でした。というのも、彼の父が亡くなったり、ドラッグ等によるうつ状態など、シングル曲『Nowhere2go』に描写されていたようなことがまさにアールの身に降りかかっていたからです。そんな彼の久しぶりのリリースで、そのアルバム一曲目が『Shattered Dreams』です。アルバムの大体のテーマを決めるイントロでいきなり”Imprecise words”「正確ではない言葉」とか言われても……と思って聴いてましたが、調べてみたら作家・James Baldwinの言葉みたいですね。ボールドウィン自身は抽象的で曖昧な言葉について言ってますが、アールに関しては、①身の回りに起こっていたことを表現するには不十分な言葉 ②そんな自分に周囲がかけてきた曖昧な言葉 の2つを指しているような気がしています。テーマがこの「正確ではない言葉」である以上、より内面的で、自分に関するアルバムであることがわかります。
自分の弱さをさらけ出すことは非常に難しく、特にドラッグやアルコールなどの誘惑が身の回りにある状態では尚更のことだと思います。さらにラッパーたるもの、顔では笑って背中で泣く、というのがスタンスであるべきなのでしょうし、自らの弱さをさらけ出す曲はあっても、アルバム全体でそういうテーマを持ったものというのは少ないです。
そんな自分の弱さと向き合う上で、身の回りの様々なものをテーマにアルバムが展開されていきます。まあ日本人でドラッグを使う人って本当に少ないと思うので共感できにくいことではあるとは思いますが、アルバムで表現されているようなことはアメリカでは日常茶飯事なんでしょう…… そう言った文化的な背景を知るという意味でも、このアルバムは意味あるものだと思います。
Why ain't nobody tell me I was bleedin'?
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