Young, Broke & Infamous
ファントムです。どうもおまたせ
最近めっきり寒くなりましたね。僕はヒップホップで暖を取ってます
さて、今回焦点を当てるのはロジックのニューアルバム『YSIV』です
今アルバム『YSIV』は、ロジックのミックステープシリーズ「Young Sinatra」の4作目で、ラストになるミックステープになります。
これまでの「Young Sinatra」シリーズは、1作目『Young Sinatra』から、『Young Sinatra: Undeniable』、『Young Sinatra: Welcome to Forever』と続いてきました。このシリーズの特徴は、『YSIV』一曲目の『Thank You』でも言っているようにBoom Bapであるということです。
ロジック本人がアメリカのヒップホップ・メディアである「Genius」や「Hard Knock TV」とのインタビューで言っているように、アルバムシリーズにそれぞれのテーマがあり、「Young Sinatra」はブームバップであること、「Bobby Tarantino」であればトラップであること、などが挙げられます。
アルバムのスタートで、リスナーに対して感謝を述べるところから始まります。実際にツイッター等のメディアでボイスメッセージを募集して、それを曲後半で紹介していくという形になります。リスナーによっては「曲後半いらなくね?」という人もいるらしいですが、僕としてはリスナーとのつながりを感じられて感動的です。ここら辺は日本のアーティストが真似したいところ
カニエの『ラスト・コール』やジェイ・コールの『ノート・トゥ・セルフ』などに代表される感謝を述べる曲は大抵アルバムのラストにくるんですが、ロジックはそれを確実に聴いてもらうためにアルバムの最初にぶち込みます。「ヤング・シナトラ」シリーズのラストアルバムとして、新しいながらもリスナーの心を打つ構成になっていると言えるでしょう。
そして実質のアルバムのスタートは2曲目『Everybody Dies』であり、そこから古き良きブームバップのビートに、ロジックのリリシズムが乗っかっていくということになります。コーラスの部分である、
You are watching a master at work / This what you all been waitin' for, ain't it? / Rap game owe me, I been waitin' for the payment / All these little rappers come and go, wonder where they went / Ten years and runnin', we came up from the basement
は、現状のラップ界を表しながら、自分がいかにここまで来たかということを端的に表しているバースになりますね。
このアルバムで特筆すべき点は、なんといっても6曲目『Wu-Tang Forever』でしょう。同名の曲はたくさんありますが、ウータンクランのメンバーを実際に客演に迎えているのは初めてだと思います。ロジックはインタビューで「ウータンクラン全員をフィーチャーした『ウータン・フォーエバー』という曲を作ることは夢だった」と発言していますが、夢が叶ったという形です
ウータンクランの面々は流石のラップスキルという感じで、メタファーとリリシズムが入り乱れています。嵐です。特に、ロジック本人のバースである
You cannot defeat my Wu-Tang style, I leave 'em all dismembered / Fuck a mumble rap, that shit won't never be remembered / Not even a contender
は、現実に対するディスになっていて最高ですし、メソッドマンの
The gun, Smokey Robinson, you need a Miracle
のバースは、伝説的ソウルシンガーであるスモーキー・ロビンソンとそのアルバム『Miracle』と、”Gun Smokey” つまり「撃ったばかりで煙が上る銃」という表現を重ねていて、さすがです。
個人的にお気に入りのラインは、キャパドナの
These dirty-ass cops, they kill and rape you / On some Jason shit, might Crystal in the Lake you
で、映画『13日の金曜日』の舞台となっているクリスタル・レイクと、その登場人物である殺人鬼・ジェイソンの残酷さを、アメリカで問題になっている”Police Brutality”「警察による残酷な仕打ち」と掛けていて、伊藤園のペットボトルに載るレベルの「うまさ」を発揮しています。最高だね
その直後の『100 Miles and Running』や、アルバムのタイトル曲である『YSIV』など、特筆すべき楽曲がたくさん含まれています。
そして上記のカニエ・ウェスト『Last Call』と同じで、自分やこのアルバムをリリースするにあたってのことを最後の曲『Last Call』で触れていたりして、何とも聴きごたえのあるアルバムになってます。是非!
ちなみに、トラップを題材にしている「Bobby Tarantino』シリーズも最高なので、聴いてみてください。
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