Self
ファ、ファントムです……よろしく……
『Telefone』の衝撃から2年、フィメールラッパー・Nonameがアルバム『Room 25』をリリースしました。
NonameはNoname Gypsy時代からそのストーリーテリングに定評があり、若手フィメールラッパーではRapsodyと並んでよく名前が挙げられる存在です。前作『Telefone』でも人生におけるレッスンとして彼女の祖母の話だったりを語ったりしてましたが、今回はどうなんでしょうか……
もう一つ前作について評判だったのが、確かプロデューサーがCam O’biとかなんですけど、サンプリングなしのオリジナルビートだということで、マークさんも言ってましたがたぶん許可取るための金がなかったんだと思います。でもあんなエモいビートが作れるのは本当にすごい。それにしてもシカゴのプロデュース力。元々『Telefone』はDonnie Trumpetがプロデュースする予定だったらしいんですが、彼は言わずもがな、結局プロデュースに関わったSabaとかPhoelixもシカゴのアーティストなんですよね。スゲえ。(Cam O’biはベガスらしい)
にしても、Nonameは静かにラップする割に速いから全く何言ってるかわかんないですね。本人はララバイラップとか言ってましたが……
5周ほどしてやはり印象に残ったのは、2曲めの『Blaxploitation』でしょうか。聞いたことない単語だったので調べてみたら、「Black」と「Exploitation」を組み合わせた造語で、70年代に流行した映画のジャンルの一つだそうです。映画と同じように、この曲では黒人に対する差別をテーマにしています。特に「Eating Chick-Fil-A in the shadows, that tastes like hypocrite」のラインは、実際にチキンサンドウィッチで有名なChick-Fil-Aが差別的な団体に寄付を行った事件を知っていれば「なるほど」と思えるかと思います。そして何よりも、この短い曲においても表現力とビートの良さが光っていて、前作『Telefone』からの評判を裏切らない素晴らしい出来だと思ってしまいました。スゴイ!
基本的にNonameは、人種、性別などの差別をベースにしながら、自分の精神についてもラップしています。差別による無力感や、やりきれなさを感じながら、その中でどのように成長していくのか、どのように感じるのか、といった部分を、実際の事件や自分の経験を語ることで伝えているのです。前作『Telefone』と同様に、同じようなテーマでありながら、暗くならないように、その中にあるわずかな幸せを表現したブルースのような雰囲気がある、素晴らしいアルバムでした。
ラップのオリジンを辿るとこれこそまさにといった感じで、ただドラッグをやることを言う曲ではなく、このような楽曲たちこそがラップというものだと、僕は思っています。そりゃエミネムおじさんも怒れば、J. Coleも「良いとは思わない」って言いますよ。
それはそうと、前回の記事で触れた「だらだら喋る系」のラップ、一番合っているのはNonameかも知れない。Amen
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