J. Cole “KOD” 感想 ③ 〜SNS、金、女〜

今回は、『KOD』より3つの曲についてです。

前回のブログで、全体的なテーマについて触れました。ドラッグ以外の「中毒」として、「SNS」「金」「女」の3つがこのアルバムでは挙げられています。

まずは、SNS中毒についての曲が、『Photograph』です。
この曲では、SNSを通した顔も知らない相手との恋愛についてが描かれています。インターネットの広がりによって、インスタグラム、ツイッター、フェイスブックのようなSNSや、ティンダーのような出会い系SNSなど様々な形の出会いが出来上がりました。こういったメディアには、良いところばかりが強調され、悪いところは見えないという特徴があります。

また、「いいね」の文化によって、承認欲求や自己顕示欲を満たせるツールであるSNSは、高い中毒性があります。上記のような恋愛についても同様で、お互いがお互いの注目を集めるために良いところばかりを強調するSNSは、まるで夢のような世界であり、またいい現実逃避の場であると言えます。だからこそ、「SNS中毒」のような状態になってしまうのでは、と。コールは過去の楽曲『03’ Adolescence』で似たテーマに触れており、自分がそんな状態であったことも述べています。つまりSNSはある種ドラッグのような存在であり、ここでも”KOD”の3つの意味に繋がってくるということです。


「カネ」はいつでも必要です。稼ぐことへの欲求=金への「中毒」をテーマにしているのがこの曲です。
金を稼ぐことへの欲求は稼げば稼ぐほど強くなります。コールはスターダムにのし上がるに連れて以前の何倍もの稼ぎを得たはずです。Wu-Tangの曲に『C.R.E.A.M. (Cash Rules Everything Around Me』という曲がありますが、この『Motiv8』でも言及しています。金銭的に余裕があること、または、裕福になることへの欲求は、社会的に差別され常に貧困に喘いできたアフリカ系アメリカ人にとって、強い欲求であると言えます。

音楽やスポーツの他にはドラッグディーリングしか金を稼ぐ方法が無いと言われるアフリカ系アメリカ人にとって、業界で成功し大金を手に入れることは、強い中毒性を持っているはずです。


アメリカのコメディ俳優でケビン・ハートという人がいます。NBAを観ている人や少しでもアメリカの文化に興味がある人なら恐らく知っているかも知れませんが、彼は俳優としても有名ですが、ゴシップが多いことでも有名です。コールは女性関係の中毒性について、以下の曲で語っています。
そんなケビン・ハートの心情を歌っている『Kevin’s Heart』ですが、この曲における「she(彼女)」には、2つの意味があると感じました。1つは文字通り自分の配偶者や子供のことを指していて、もう1つはドラッグのことを指しています。最初は前者のみだと思っていましたが、”Kids on Drugs”との繋がりを考えると、2つめの意味もあると思います。

ある特定の異性(彼女、配偶者)が1番大切だとわかっていてもついつい浮気をしてしまうのが男というもので、有名になり裕福でもあるコールとケビン・ハートには誘惑もそれだけ多くなります。そういった「男としての性」という誘惑が”Demons”であり、また、中毒性を孕んでいるものであると表現したいのでしょう。過去、コールは『She Knows』などで自分の浮気をした過去についても触れています。やはり、女性関係の問題は有名人には付いて回る問題なのかもしれません。

また、曲中ではドラッグの一種である”Xannie(ザニー、ザナックスの略称)”と、マリファナについても触れられています。”She”がこのようなドラッグを指して使われているとも考えられます。やめたくてもやめられない、ドラッグと女性の中毒性についてが、この曲のテーマだと考えました。


以上が、『KOD』におけるドラッグ以外の中毒に関する楽曲です。他の曲にも常に表現されている事柄ではありますが、上記3曲は特に強く表現されていると思います。


ソロポッドでも言いましたが、ヒップホップにはこういうメッセージが詰められています。こうして考察するのもすごい楽しいですし、考えれば考えるほど新たな謎が出てくるのでいいです。

クソ真面目な文書になってしまいましたが、多分あと3つくらい『KOD』について書くと思います。今後ともよろしくお願いします

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